キミの手 キミの体温
side水希
“気持ち悪いから辞めてくれ。鬱陶しい”
忘れ物を取りに戻った教室の前で聞いた言葉は、信じられないくらい冷たい響きを帯びていた。
言い放った張本人は噂の転入生。
なのにそこには、いつものような愛想の良い笑顔は無い。
“……ご、めん”
彼の傍らには肩を縮めた親友の姿。
泣きそうになってるのを必死に誤魔化してるけど……バレバレだ。
千愛は嘘とか誤魔化しが下手だから……。
怒りでカッカする頭の中で冷静にそんなことを考えてた。