キミの手 キミの体温
一年前。
周助と別れた千愛が一度だけ話してくれたことがある。
“……ずっと好きな人が居るんだ”
その癖に周助と付き合った自分は最低だって、ポロポロと涙を零してた。
彼氏ってワケでも無いんだから、気に病まなくても……。
言おうとしてとっさに飲み込んだ。
千愛にとっては好きで居ること自体が、きっと大切なことなんだろう。
どうせ周助のことだし、しつこく付き合ってって言ったんだと思う。
真面目だけど優柔不断な千愛には、断ることも半端に受け止めることも難しかったんだ。
付き合ってる間も真剣に向き合おうってしてるのが、わたしには痛々しく見えたんだよね。