キミの手 キミの体温


千愛が自分を最低だって泣いたのは何だったの?


こいつに千愛に想われる資格なんかない。



こんな冷たい奴の為に泣いたのかって思ったら……また怒りが込み上げてきた。



「……忘れなよ、あんな奴」



差し出したハンカチを受け取った千愛は、驚いたように潤んだ目をまんまるくしたけど、



「ううん……。まだちゃんと話してないから」



周助もちゃんと話せって言ってくれたし。



続けた千愛にこれ以上何も言えなくて、



「……はぁ。わかったよ」



千愛を精一杯支えて応援したげよって思い直す。


周助のバカもそのつもりなんだと思うし。


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