キミの手 キミの体温
再び手渡されたプリントに気付いて、ゆっくりと頭の中が動き出す。
「……十年前、近くに住んでたんです。舟瀬くんとお母さんの」
「へぇ。そうだったのか」
言葉に困ったように担任が視線を逸らし、中指でメガネを直す。
……せっかく再会出来たのに、もう瑠璃おばさんには会えない。
そう思っただけで、なんだか泣きたくなる。
ぽっかりと心に穴が空いてしまったみたいで、寂しさと悲しさが全身に巡っていくみたいだ。