キミの手 キミの体温

担任から受け取った走り書きのメモには、学校からわたしの家の間にあるマンションの住所が書かれていた。



「なんて言われるかわかんないけど、行ってみるよ」



昨日の宝珠とのやり取りを見ていた水希はちょっとだけ不満そうな顔をして、


「……わかった。行っといで」



泣いて帰って来たりしたら怒るよ。




最後は困ったみたいに眉を下げて、笑って送り出してくれた。




あれこれ言いながら結局、水希は背中を押してくれた……。



だから約束するよ。



絶対に泣かないって……。


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