キミの手 キミの体温
静まり返ったマンションの廊下は、吹き抜けていく風のせいで寒かった。
冷たい空気がツンと張り詰めたフロアに、同じデザインの扉が等間隔でいくつか並んでる。
表札も出ていない無機質な扉を前に、メモの中の文字と部屋番号を見比べた。
何度も何度も確かめた後、
「……よし」
意を決してインターフォンのボタンを押したのが二時間程前。
「…………」
インターフォンを3回くらい押したけど、未だに扉は開く気配がしなかった。