キミの手 キミの体温
差し出したプリントに伸ばした宝珠の手が指先に掠る。
冷えた指先に一瞬間だけじわっと宝珠の体温が移り、
「いつから居た?」
「えっと……ちょっと前」
一層鋭くなった視線に面食らって、慌てて苦笑いで誤魔化した。
もちろん宝珠が笑い返すワケもなく、
「じゃあ、これで」
これ以上睨まれたくないって思って、そそくさと足をさっきまで宝珠が居た方へと向けた。
本当は瑠璃おばさんのこと聞きたかったけど……。
顔色の優れない宝珠に聞くのもなんだか気が引けてしまう。
後ろ髪を引かれるように踏み出した一歩を、
「待って」
「っ……」
ギュッと掴まれた宝珠の手に止められた。