キミの手 キミの体温
テーブルを挟んで向かい合わせに座った宝珠は、斜めに腰をかけてネクタイの結び目を緩めていた。
相変わらずわたしには視線も向けずに……。
「瑠璃おばさん、いつ亡くなったの?」
唐突に問い掛けた言葉に、宝珠の瞳がすぐにわたしを見つめる。
なんで?って顔をしてる宝珠に、
「お母さんの命日だって先生が」
呟いた言葉は、宝珠の顔を険しくさせた。
きっと、わたしには知られたくなかったんだ。
握り締めたカップだけが、冷えた心と体を温めてくれる。