キミの手 キミの体温
「……お疲れさん」
「周助」
日誌に綴る用紙を補充した帰り道。
誰も居なくなった教室の前で、軽く手を挙げた周助が出迎えてくれた。
「もう終わりか?」
「うん。今日は」
「はは。今日は、な」
明日は明日でまた担任に雑用を頼まれる。
それを見越して答えたわたしを、周助が笑って頭を撫でた。
「もぅ。またぁ」
最近の周助はこうやって、わたしの頭をよく撫でてくる。
「嫌か?」
「嫌じゃないけど……」
嫌じゃないけど恥ずかしい、っていうのが正直なところ。
だって、頭を撫でるのは子ども扱いの証拠だから。