キミの手 キミの体温
こちらの気も知らず、もう一度頭を撫でた周助に、
「一瞬でも忘れねぇ? 辛いこと。頭撫でられたら」
「周助……」
小さな笑みを向けられ、思わずハッとしてしまう。
いつも通り振る舞ってたつもりなのに、周助には見透かされてたのかな。
宝珠のことが頭を離れないって……。
「……なぁ」
「なに?」
「俺なら千愛にそんな顔させねぇ」
「えっ……?」
驚いて見上げた顔は、いつになく真剣で……。
頭の中に浮かび上がった一年前の周助が、目の前に居る周助と重なる。