キミの手 キミの体温
side周助
とっさに追い掛けた先で見たのは、舟瀬に唇を奪われる千愛の姿だった。
あぁ。
やっぱり俺はフラれたのか……。
舟瀬を見掛けた瞬間、走り出した千愛を見てわかってたけど。
この目で見るまではって、未練がましく追いかけたりするんじゃなかった。
好きな奴が別の男とキスするのとこなんて、見たって心底虚しくなるだけ……。
そのはずだった。
泣いてる千愛を見るまでは。
“……だから嫌いなんだよ”
吐き捨てて去っていく舟瀬を殴り付けたい衝動に駆られた。