キミの手 キミの体温
自分を好きだと訴える女を前に、そいつの唇を強引にねぶっときながら言い放った台詞。
千愛の気持ちを弄んでるようにしか俺には思えねぇ。
本当に嫌いなら何もせず突き放せばいい。
そしたら、俺は……絶対千愛を受け止めてやるのに。
なんで舟瀬はわざわざあんなことを言ったんだ……。
「…………」
直接慰めようとしたけど、やっぱり声を掛ける勇気は出なかった。
泣いてる千愛の背中を一瞥し、俺は足早に廊下の奥にある階段へと向かっていった。