キミの手 キミの体温
口をついて今にも出そうな溜め息を飲み込み、チラリと窺った舟瀬は、
「……好きなのか?」
「えっ?」
「千愛のこと」
真っ直ぐに俺を見つめ、静かにこう問い掛けてきた。
やっぱりこいつ、俺が千愛に告白してたのを見てたみたいだな。
「え……うん。好きだ」
誤魔化すつもりは最初から無かったとは言え、こんなにもストレートに聞かれると少し戸惑ってしまう。
何と無く締まりの悪い俺の答えを聞いた舟瀬は、
「だったら幸せにしてやってよ」
一瞬諦めたように薄く笑い、
「な……なんで」
「そうしたら千愛が俺にしつこく近付いてくることも無くなるだろ」
すぐに最初と同じ仏頂面に戻って、冷たくこう言い放った。