キミの手 キミの体温

「……舟瀬くんすっごい人気だね」


お昼休み。


わたしの前の席に座る水希と向き合って、いつものようにお弁当を広げていた。



お箸を口に突っ込んだまま、水希がじっと視線を向けた先。



昼休みが始まって十分も立たないっていうのに、宝珠の周りにはあっという間に人だかりが出来ている。



「嫌な顔もしないでずっと笑ってんもんな。すげぇよ」



急に騒がしくなった隣の席に、周助がいそいそと椅子を引っ張って非難してくる。



パンと紙パックの牛乳片手に、周助は赤茶の前髪の隙間から斜め後ろを見て感心したように呟いた。



ホントに、ずっとあぁやって対応してるんだもんね。

確かに感心しちゃうよ。




休み時間毎にひっきりなしに現れる人波に、宝珠はずっと変わらない愛想笑いを浮かべ続けてる。




宝珠の愛想笑いは自然で綺麗で……見る人の目を惹いては止まない。



でも知ってるよ。

ホントはもっと、優しい笑顔をするって。


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