キミの手 キミの体温
気付かなければ千愛に諦めろって、何の迷いもなく言えたのに……。
舟瀬の気持ちが本音じゃないってわかった以上、黙ってらんない自分の要領の悪さが恨めしいったらねぇし。
……ホント、いい加減自分で自分が嫌になりそうだ。
ついでに自分の首を絞めてばかりの勘の良さも疎ましいけど。
「……辛いしな。千愛の泣いた顔見んの」
もう千愛には泣いて欲しくない気持ちも拭い去れず。
もう暫く。
千愛を譲りたくない想いと、千愛を泣かせたくない気持ちのジレンマに苛まれそうな気がした。