キミの手 キミの体温
「あっ……」
「…………」
階段を上りきった先で、廊下の向こう側から歩いて来た周助と出くわした。
気まずくて下げてしまいそうになる視線を堪え、周助の瞳をじっと見上げる。
逃げちゃダメだ。
周助は真剣な気持ちで想いを伝えてくれたんだから。
わたしだって真剣に向き合わなきゃ……。
「周助ごめんなさいっ。わたし……」
「……いーよ。謝られたくて言ったワケじゃねぇし」
「でも……ごめんなさい」
苦笑いでこう言ってくれる周助に、わたしは深々と頭を下げた。
こんなことで許されるのかはわからないけど。
「わたし、ずっと宝珠が好きなの」
ちゃんと本当の気持ちを伝えようって決めたから。