キミの手 キミの体温
「わかってるって。んなことは」
「一年前のときだって、好きなまま周助と……」
「それもわかってる。何回も言わすな」
いたずらっぽく笑ってる周助に、ぎゅっと手の平を握り締めて目を逸らした。
もう限界だ。
わたしは知らず知らずに何度も、周助を傷付け続けて……。
それなのに、
「友達に戻ろうなんて……ムシのいいこと言ってたんだね。周助の優しさに甘えて」
「ストップ。……それは違うぞ」
「えっ」
「千愛が言った友達って肩書きに甘えてたのは俺。元カレじゃなくて、友達として扱うから……千愛から未練断ち切れなかった」
自嘲した周助は、赤茶色の髪をくしゃりと掻いて俯いた。
そんな顔しないでよ。
周助は悪くないのに……。