キミの手 キミの体温
僕の声
side宝珠
“アナタが憎いの……宝珠”
母さんの死後。
俺を引き取ってくれた叔母が、悲痛な顔で言ったのは……ちょうど二年前だった。
思えば、この瞬間から俺は壊れ始めたのかもしれない。
未婚で俺を産んだ母さんと、ずっと二人で暮らしていた俺の唯一の身寄り。
母さんに似た優しい面影を持つ、妹の恵璃さんの笑顔は母さんによく似ていて……、
たった一人の家族を失った俺の心の拠り所は、引っ越して行った大好きな幼なじみと、この人の笑顔だけだった。