キミの手 キミの体温
まだ独身だった恵璃さんは、仕事で家に居ないことが多かった。
寂くないと言えば嘘になる。
忙しそうに毎日を過ごしながら、それでも俺を養ってくれるこの人に迷惑は掛けられない。
多分、子どもなりにそんなことを考えてたんだろう。
だから、役に立ちたい。
ここにいても良いって思って貰えるように……。
自分のことはもちろん。
家のことをこなせるようになった俺を、恵璃さんは褒めてくれた。
それが嬉しくて。
俺は何でも自分で出来るようになろうって、夢中で頑張っていた感情を今でも思い出す。