キミの手 キミの体温

「なれないよ」


唇の間近まで寄せられた顔を押し返し、白奈を膝から退かせる。



懲りずに背中に飛び付いてくる白奈はいつものこと。



行く場所の無い白奈にとって、俺はきっと……心の拠り所。



あの頃の俺が、母さんに似た面影を恵璃さんに抱いていたように……。



でも、俺にとっては違う。




公園で拾った家出娘に抱いてる感情は、孤独という名の同情と共感以外の何物でもなかった。



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