キミの手 キミの体温
嫌いなくらいキミが好き
“舟瀬はまだ本音を隠してる”
宝珠と揃って屋上の階段から降りてきた周助がこっそりと教えてくれたこと。
階段の下で出くわしたわたしに見向きもしない宝珠に苦笑いした後、
こっそり耳打ちした周助はにっと笑って、一歩先を歩いていく背中に小走りに駆け寄っていった。
「アンタのこと完全に無視しといて本音って……」
並んで歩いていく二人を横目に、隣の水希は如何にも不満そうな顔で吐き捨てるように呟く。
周助のやり直したいって申し出を断って、拒まれてばかりの片想いを続けることを伝えたら……呆れたみたいに唖然とされて、
「……この先また、傷付けられることがあっても好きで居られる?」
数秒の後、真剣な眼差しをした水希に静かにこう聞かれた。