淡い満月
「痛々しいねー。」
「あ、腕ですか?」
「違う違う、首の方。」
透析のために管を通した首には、大きなガーゼが当ててある。
「平気ですよ。」
そう?なんて言って朝食を食べ始める片桐さん。
弱音なんて吐けない。
全部、自分でまいた種なんだから。
結局、私は朝食をひと口も口にしないで片付けた。
片桐さんは心配そうに見ていたけど、私は見てみぬフリをする。
気づいたら…何日も食べていなかった。
入院前に比べたら、かなり痩せた気がする。