淡い満月
夜になって、夕食も口にしなかった私を見かねた彼はとうとう声をかけた。
「ねぇ…食べないの?」
普通の人になら、うるさいなんて思う。
だけど、彼にはどうしてもそう思えなかった。
「食べたくないわけじゃ…ないんですよ?」
「じゃあ………。」
彼はその続きを言わなかった。
食べろって言えばいいのに…。
会って間もないのに、彼は他の人みたいに私を追い込んだりしない。
触れられたくない部分を上手に避けて近づいてくる。