淡い満月
「ゲホゲホ…ッ。」
「今ナースコール押したから、心配しなくてもいいよ。大丈夫だから。」
優しく背中をさする手は、思ったより温かくて大きい。
安心する…。
「ごめんなさい…っ。」
「大丈夫、困ったときはお互い様って言うし。」
それは、看護師さんが来て後始末をしてもらった後。
聞かれたわけじゃないけど、ここにいる理由を隠している気がして…急に罪悪感にかられた。
「あの…私…。」
こんなことを言って、引かれたりしないだろうか。
「大量服薬で入院してるんです…。」
自分で打ち明けることになるなんて思わなかった。
だけど、それより私を驚かせたのは…
「分かってたよ。」
「…え?」
次の彼の言葉だった。
「…俺も同じだから。」