淡い満月
 
 
その3日後、私の体は食事を人並みにとれるまでに回復していた。



入院中は何もすることがなかったので、片桐さんとたわいもない会話をする毎日。


それでも、あのときの話題にはお互い触れないようにしているみたいだった。






「あ、オムライスうまい!」


カーテンで仕切られているにもかかわらず、隣からは時々声が聞こえてくる。

私に言ってるのかな?






病院の昼食にあった小さなオムライス。


「あ…美味しい。」


久しぶりに食べた。




お姉ちゃんが大好きだったっけ。


「………。」


今まで忘れていた自分を少し責めた。
 
 
 
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