淡い満月
頭を巡る想い
土曜日の朝。
「結果が良ければ、来週にも退院できますよ。」
採血のあと、主治医の先生が病室まで来た。
「来週ですか。」
「はい、月曜ぐらいに。」
笑顔の先生とは打って変わって、当の私は複雑な気分。
今の入院生活から、また現実の世界に戻ることになるんだ…。
元々このまま消えてしまおうとしていた私は、素直に喜べないでいた。
「片桐さんは…退院したらどうするんですか?」
結果が良かったと聞いた日曜日の夜。
翌日の朝に退院することが決まったので、ゆっくり話せるのもこれで最後になる。
「…小波さんは?」
ベッドで仰向けのまま、片桐さんが言った。
私は、どうしよう…。