淡い満月
こんなにいい人は私なんかと関わってはいけない。
もう、私はこれ以上何かを望んではいけないんだ。
「そろそろ戻ろっか。」
「はい。」
返事と一緒に気持ちも整理した。
病室に戻ると、片桐さんのベッドの前で看護師さんが待っていて
「わ、すみません!」
彼は私に照れ笑いを残して検査に行ってしまった。
病院は出会いと別れの繰り返し。
私はこの世界で彼と出会い、そして別れた住人の1人。
これから、元の現実の世界に帰ることになる。
先の見えない不安を体いっぱいに背負って…。