淡い満月
 
 
一週間はそんな生活が続いた。


土日に入った頃に、体調が良くなった私は外にも出るようになっていた。

家にいると頭がどうにかなりそうで…。



その日も夕方になってから1人で家を出た。





コンビニで騒いでいる学生の前を通り、ファミレスの駐車場を突っ切る。

賑やかな雰囲気が全て他人事に思えて、フィルター越しに映った。


ここにも私の居場所はないみたい。




ちょうど商店街に入ったところで、小さな薬局があることに気づいた。


「…………。」


思い出した、ここは前に薬を買ったお店だ。

私は無意識のうちに足を踏み入れていた。



誰もいない店内。

お店の人は奥にいるのかな?



何も考えずに手に取った風邪薬を見て、自分はおかしいと思ったけど

戻して!という声は寂しく頭に響くだけ。


自分じゃない人間が自分を動かしている。
 
 
 
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