淡い満月
罪悪感はなかった。
盗んだわけではないし、自分のお金だし。
問題は飲む量と、場所。
これで最後にするつもりなら、今度はお姉ちゃんの側がいい。
明日、お姉ちゃんのお墓に行こう。
真っ直ぐ家に帰って、薬がバレないかドキドキしながら夜を迎えた。
ベッドの上で壁にもたれかかって座る。
片桐さんには会えなくても、彼には大切な人がいるから
苦しむだけの想いは捨ててしまった方がいいんだ。
彼への想いと一緒に、自分の存在も…。
今夜も満月が淡く輝いていた――…。