淡い満月
再会と事実
 
 
天気は曇り。

晴れていなくて本当に良かった。

天気は決意を揺るがすことを、私は知っている。




「友達と出かけてくるね。」


ありきたりな嘘で家を出ると、財布と薬を持って駅に向かった。

お姉ちゃんのお墓は電車を乗り継いで30分かかる距離にある。


電車の中でぼーっと景色を眺めながら、何度もお姉ちゃんとの思い出が頭を巡っていた。




こんな風に命を粗末にしたら、絶対に怒るような人だから

こんな私を見たら泣いて怒るんだろうな。


だけど、ごめんね。

弱い私でごめんなさい。




電車が目的の駅に止まる。
 
 
 
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