淡い満月
私服を見たのは初めてだったから、今まで気づかなかったんだ。
「会えちゃった…。」
「会えちゃったね~。」
病室にいたときみたいに笑う彼を見て、心が急に軽くなった感じがした。
「元気そうで良かった。」
そう言って私の髪をくしゃくしゃする手は、あのとき背中をさすってくれた手と同じ。
大きくて温かい…。
「今日は親戚のお墓参りですか?」
「いや、…彼女のだよ。」
彼女って、病室で言ってた大切な人?
会いに行くってこういうことだったんだ。
「でも……。」
片桐さん、そこはお姉ちゃんのお墓だよ?
どうしてあなたがここにいるの?