淡い満月
嘘だよね…?
お姉ちゃん、つき合ってる人がいたなんて言ってなかったし。
片桐さんの彼女が、お姉ちゃんなわけ…ないよね?
「本当はあんなことをしても、もう彼女には会えないって分かってたんだ。」
ズボンのポケットに手を入れながら彼が言った。
それは、あのとき私を大切な人だと言った切ない笑顔。
だけど、その目は確かにお姉ちゃんのお墓に向けられていた。
信じたくない光景。
逃げ出したい現実。
私を現実から救い出してくれた彼に、今こうして辛い現実を突きつけられるなんて。
「あの…。」
「ん?」
だけど、言わなきゃ。
そこは私のお姉ちゃんのお墓ですって。
「………。」
彼女を死なせたのは…私ですって。