淡い満月
言えない気持ち
片桐さんに連れられて、歩いて5分のところにあるファミレスに入った。
「何食べようかなー。」
片桐さんはいつもの笑顔でメニューを眺めている。
切り替えが早いなぁ…。
私はお姉ちゃんのことがあったから、どうしてもオムライスを選ぶ気分にはなれなくて何となく避けてしまった。
「私、エビグラタン。」
彼はそんな私を見て
「じゃあ、俺もそれにしようかな。」
パタンと自分のメニューを閉じる。
「……え?」
「どうした?あ、もしかして同じもの食べるの嫌だった?」
片桐さん、オムライス頼まなかった。
切り替えが早いわけじゃなかったんだ…。
「…あ、いえ。片桐さんエビとか嫌いそうだなって思って。」
「何だそれ、子どもか俺は!」
外から見たら、楽しそうにメニューを選んでいるようだけど
私も彼も感情をごまかしてばかりだ。