淡い満月
そうは言っても、おごってもらっておいて彼を歩いて帰らせるわけにもいかない。
「帰りの電車賃くらいなら…。」
今日は水くらいしか買ってないし。
あるはず……
「…………。」
あれ、ない?
そうだ、私帰るつもりなんてなかったから。
よく考えたら、持って来てるはずないんだ…。
「ごめん、やっぱり貰ってもいい?」
「ごめんなさい…っ。」
「だよな、かっこつけといて返してはないよな。」
「片桐さんに返す分どころか、自分の分もないです…。」
「…ええ!?」