淡い満月
立ち止まったことで変わったのは、私と彼が手を繋いで歩いていること。
彼の手を握り返せずにいる私は、ただ彼に引かれて進むだけ。
それでも、相変わらず先を歩く彼の優しく温かい手は
いつかと同じように私を安心させてくれた。
「…………。」
好き。
だけど、言えない気持ち。
いけない気持ち。
好きです、片桐さん。
繋いでいる手から温度や感触と一緒に、気持ちも伝わればいいのに。
今すぐにこの手を握り返せればいいのに…。