淡い満月
 
 
このまま何事もなく、この部屋を出るつもりだったのに。

今こうして、薬は彼の手の中にある。



「自分で買ったのか?」


うん、と頷く。


「また………。」


死のうと思ったのか?と言わない彼は今にも泣きそうな顔をしていた。



どうして、私のことなのに。

あなたがそんな顔をすることないのに。



彼の表情が私の冷静な心を揺さぶった。


やめて、やめて。


これ以上…私は優しくされる資格はないの。

私は、そんな人間じゃないの。
 
 
 
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