淡い満月
廊下へ続く扉を開けると、壁にもたれて座りこんでいる彼を見つけた。
眠っているようなので、急いで毛布を持ってきてかけてあげる。
「ん…?起きちゃった?」
「起きちゃったじゃないですよ、こんなとこで寝てたら風邪ひきます。」
「ひいても薬あるし。」
「だからって…。どうしてこんなとこで寝てたんですか?」
彼は少し恥ずかしそうに目をそらす。
「寝るって言ったって、入院してたときとは違うだろー?」
「……?」
「いや、だから…今は患者同士じゃなくて、一応男と女だから。」
彼がそこまで気にしていたなんて思わなくて、私は思わずくすくす笑った。
「そこで笑うかー?」
でも、分かる。
今は彼のこと、男の人だって意識してるから。