淡い満月
隣のベッド
2日間の透析を終えた私は、車椅子で一般病棟に移動した。
大部屋の一番窓側のベッド。
…と言っても、全部のベッドが使われている訳ではないようで。
私の正面とその隣には空のベッドが並んでいた。
最初に隣の人らい、挨拶した方がいいよね…?
今は誰もいない隣には人が使っている気配が残っている。
「あ、検査中だからしばらく帰って来ないと思うよ。」
看護師さんはナースコールを私の顔の隣に置いた。
「何かあったら遠慮なく押してね。」
「あ、ありがとうございます…。」
病院の人はみんな優しい。
現実を忘れさせてくれる。
突然環境が変わって、慣れない体は自然と眠っていった。
起きたら挨拶しよう、なんて考えながら。