女教師
「お前なんか、いなくなればいいんだ。そうしたら、笹倉先生は僕のものだ。お前のようなクソガキにあの人をとられてたまるか。」
そう声がしたかと思うとその黒板の前に根岸千尋という人間が浮かび上がった。
「何、だって…。」
「私は彼女を誰にもとられたくない。だから離れろ。そうしたら学校にはばらさない。証拠写真だってあるんだ。」
根岸先生は一枚の写真をぼんやりとした光に照らした。
「!!」
それは私と彼が音楽室で抱き合っている写真だった。
「どうだ。決定的な証拠だろう。お前が彼女を手放すというならこの写真はお前に譲ろう。もちろんネガもな。しかし、拒否するならこのことを学校中にばらす。教育熱心な彼女を追い出す訳にもいかないだろう?それはお前が一番よく知っているはずだ。さあ、どうする。彼女を辞めさせてもいいのか、別れを選ぶか二つに一つだ。」
根岸先生は取引をするかのようにそしてさらに脅迫をするかのようい適切に述べた。
「…あんた、狂ってるよ。そんなことをして彼女が手に入ると思っているのか。歪んだ愛で彼女を手に入れようとしても決してそれは叶わないってこと教師のくせにわからないのか。」
「うるさい。さあ、どっちにするんだ。」
根岸先生の顔が残酷な表情に変わった。
「…わかった。彼女は教師を愛している。そして夢だったことをよく知っている。辞めさせられれば彼女は行き場を失ってしまう。だから別れを選ぶ。けど、彼女は絶対にあんたの所になんか気持ちは向かない。これだけは保証してやる。」
そういい残すと彼は理科室の戸を勢いよく開けて消え去った。
「フフッ。ハーハッハ…。ざまあみろ、兼山の奴。笹倉先生、もう邪魔者はいなくなった。やっと僕たちの愛が芽生えますよ。」
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