女教師
根岸先生は重い口調で呟いた。
「えっ!?どうしてですか?私は彼の副担任だし、できるなら彼のその登校拒否の原因を知りたいと思うのが当然だと思うのですが…何か不都合があるんですか?」
「あいつにはそんなものは必要ないですよ。」
根岸先生は冷たい口調でそう言い、去っていった。なぜそこまで根岸先生は兼山東を否定するのだろうか。それに一瞬にして変わったあの表情。人間とは見た目だけではわからないものだとつくづく思う。私はそんな疑問だけを残しながらさきほど生徒に書いてもらった質問用紙を手に取った。
ほとんど授業とは関係のない質問ばかりだがそれでも私は満足だった。もともと生徒との仲を深めるのが目的だったため、私はどんな質問に対しても正直に答えることを決めていた。例えば『彼氏はいるんですか。』という質問が書いてあった場合、『付き合っていた人がいたが別れた。』という風に私のプライベートが見える部分も少しだけ答えるようにした。高校生にもなればそういうことにも敏感になりいいかげんに答えてしまうと生徒が引くような気がしていた。愛や恋について真剣に答えるのも教師の仕事の一つなのではないかと思っている。そうして答えを書いているうちに、例の問題児だという彼、『兼山東』の名前が私の目に飛び込んできた。
彼の質問の内容はこうだった。
『セックスって何ですか。』
私は少し驚きついその用紙を伏せてしまった。今どきの高校生はこんなにはっきりと堂々と書くのかと思った。何と答えればいいだろう、そう思っていたときだった。
「大変です!兼山がまた…。」
突然、教室中に響き渡るような声で同僚の教師が叫んだ。一斉に教師達は立ち上がり職員室をあとにした。取り残されてしまった私は訳がわからなかったが取りあえずその先生方についていった。
「えっ!?どうしてですか?私は彼の副担任だし、できるなら彼のその登校拒否の原因を知りたいと思うのが当然だと思うのですが…何か不都合があるんですか?」
「あいつにはそんなものは必要ないですよ。」
根岸先生は冷たい口調でそう言い、去っていった。なぜそこまで根岸先生は兼山東を否定するのだろうか。それに一瞬にして変わったあの表情。人間とは見た目だけではわからないものだとつくづく思う。私はそんな疑問だけを残しながらさきほど生徒に書いてもらった質問用紙を手に取った。
ほとんど授業とは関係のない質問ばかりだがそれでも私は満足だった。もともと生徒との仲を深めるのが目的だったため、私はどんな質問に対しても正直に答えることを決めていた。例えば『彼氏はいるんですか。』という質問が書いてあった場合、『付き合っていた人がいたが別れた。』という風に私のプライベートが見える部分も少しだけ答えるようにした。高校生にもなればそういうことにも敏感になりいいかげんに答えてしまうと生徒が引くような気がしていた。愛や恋について真剣に答えるのも教師の仕事の一つなのではないかと思っている。そうして答えを書いているうちに、例の問題児だという彼、『兼山東』の名前が私の目に飛び込んできた。
彼の質問の内容はこうだった。
『セックスって何ですか。』
私は少し驚きついその用紙を伏せてしまった。今どきの高校生はこんなにはっきりと堂々と書くのかと思った。何と答えればいいだろう、そう思っていたときだった。
「大変です!兼山がまた…。」
突然、教室中に響き渡るような声で同僚の教師が叫んだ。一斉に教師達は立ち上がり職員室をあとにした。取り残されてしまった私は訳がわからなかったが取りあえずその先生方についていった。