女教師

校長室に呼ばれた私は一方的にどやされ教頭の怒りを受けていたが校長はそう自分の気持ちを教頭に打ち明けると教頭は言葉をなくしたかのように黙りこくってしまった。
「…あの、手を挙げてしまったことは悪いと思っています。でも彼はきっと心の奥に何か拭いきれない過去を持っているのだと思います。だから教師である私が力になってあげられないかと考えていたら、体が勝手に動いてしまってあんなことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした。」
私は深々と頭を下げた。
「まあまあ、笹倉先生。頭を上げてください。先生は信念を持って生徒に接していらっしゃる。それを信じてまっすぐに生徒と向き合って下さい。私はあなたに期待していますよ。ね、教頭先生。」
校長は笑顔で教頭に相づちを打つと、その笑顔に負けたのか教頭は私を少しにらみながら言った。
「笹倉先生、今後は行動に気をつけてください。委員会から言われるのは私なんだから。」
そういい残しまたぶつぶつと文句を言いながら去っていった。
「さあ、笹倉先生。次の授業が待っていますよ。気を取り直していってきなさい。」
「あ、はい。すみません。初日からこんなゴタゴタ…。」
「気にすることはありません。私なんか何度失敗を繰り返したことか。失敗を繰り返してこそいい教師いい人間になれるのだと思いますよ。でも、暴力的なことは今後控えるようにしてくださいね。また教頭先生の雷が落ちますよ。」
クスッと校長は笑顔を私に作ってくれた。
「はい。校長先生、ありがとうございました！」
そして私は３年生のもう一つのクラス、３Ｂの授業に出向いた。教室に入った瞬間先ほどの事件があったせいか、異様な雰囲気につつまれていた。