僕のカノジョ取扱説明書~草食系男子の憂鬱~
井田ユリはまたテレビ画面のほうに顔を向けた。部屋の盛り上がりがこんなに凄いコトに、今更ながら気付いた。







でも、今の僕はそれどころじゃなかった。








初めて出会った温かさ…





くすぐったさ…






胸を締め付けられる苦しさに、なすすべがなかったんだ……









もう一度…チラッと井田ユリを見た。今度は目が合うことはなかったが、それだけで心の苦しさは幾分マシになった気がする。






出会って二時間……





大きな目を細めて笑うところ……



口元を押さえる仕草…




澄んだ高い声……












一瞬にして、僕は彼女の全てを愛しく感じているコトに気付いた……
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