白衣の悪魔のキスの味
「どうした?」



目の前には、何故か白い棒らしきモノをくわえた、いつになく真剣な瞳の先生。



その口を開くたび、



甘い香りが鼻をかすめる。



「なにが…あった?」



その口を開くたび、



あたしの頬にかかる、黒地に薄黄色と薄紫色のドット柄のネクタイが、少しだけ揺れる。



ドキドキする。



こんな近くで先生を見るの、久しぶりだから…



すごくドキドキする。



でも…



ドキドキすればするほど、



やっぱり先生のことが好きなんだって、全身で自覚すればするほど、



三村くんのキスの感触が蘇ってきて…



いくら無理やりだったにしても、



先生を、



自分自身を裏切ったような気がして…



「言えな…い…」



あたしは、ギュッと目を瞑りながら、ポツリと小さく呟いた。

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