怪盗プリンセス
そして、出港当日――

ジューンとプリンセスは、かなり早い時間から船に乗り込んでいた。



「プリンセス様!」

一人の男性が、こちらに走って来る。
ジューンは、敵と思ったのか身構えた。
プリンセスは、笑顔で手を振っている。


「アラン、久し振りだね。」

「はい、本当にお久し振りでございます。」


「ジューン、彼はアラン。敵では無いよ。」

プリンセスの言葉に、ジューンが戦闘体勢を解いた。



「君が、ジューン坊か。死んだと思っていたよ。」

アランが、ジューンを見て言った。

「えっ?」

「アラン、ジューンを知っているの?」

プリンセスの言葉に、アランは苦笑した。


「私も、一応、組織の者ですから。」

「アランが、組織の者なら話が早いわ。組織は、私に何を求めているの?」

「裏切者の引き渡しです。」

「つまり、ジューンの?拒否したら?」

プリンセスが、アランを真っ直ぐ見つめた。


アランが、目を逸らす。
「幹部連中は、プリンセス様とジューン坊を抹殺しようとすると思います。私には、関係ありませんが。私は、海の旅を楽しむために来たんですから。」

アランの言葉に、プリンセスが笑みを浮かべた。

「君が関わらないなら、安心だよ。」

プリンセスの言葉に、アランは苦笑いを浮かべる。

「私は、プリンセス様には勝てません。」

そう言って、アランは何処かに行ってしまった。


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