怪盗プリンセス
「ジューン、あそこに椅子とテーブルがある。トランプでもしよう。」

プリンセスが、甲板の椅子に座り、トランプを切り始めた。



ジューンも、椅子に座る。


カードが、配られる。


ジューンが、プリンセスのカードを引く。

プリンセスが、ジューンのカードを引く。

………………
………………………
………





勝ったのは、プリンセスだ。

「プリンセス、婆抜きの裏技でも知っているんですか?」

「実力よ。実力。」


「次は、僕が配ります。」

ジューンは、トランプを集めて切ると、配り始めた。




「ジューン、」

プリンセスが、こちらに向かってくる、数人の集団から目を離さずに言った。


ジューンは、トランプを置き、椅子から立ち上がった。




集団が、プリンセスのところで立ち止まる。

「何の用ですか?」

プリンセスが、集団の先頭に立っていた男性を睨み付けた。


「こちらは女と子供しか居ないのに、そのメンバーでお出迎えとは穏やかじゃありませんね、バナン。」


プリンセスが、椅子から立ち上がり、ジューンを自分の後ろに庇う様に前に出た。


「これは、失礼致しました。私は、その坊やを引き渡して欲しいだけです。その坊やを引き渡して頂ければ、空かずの箱はお渡しします。」


プリンセスが、バナンの言葉に、眉を潜めた。


「お断りします。」

「ならば、仕方がありません。」


バナンが、ニヤリと笑う。

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