怪盗プリンセス
戦いが終わった時、既に甲板には誰も居なかった。

いや、二人だけいた。



「流石ですね。」

アランが、ジューンと物陰から現れた。


「助かったよ。危ないところだったから。――ジューン、大丈夫だった?」

プリンセスが、心配そうにジューンを見た。


ジューンが、プリンセスに抱き付く。

「ジューン?」

プリンセスが、ジューンを抱き止めて、不思議そうに名前を呼んだ。


「し、死んじゃうかと、お、思った――」

ジューンは、そういうと泣き出した。



プリンセスが、困ったように、ジューンの背中を撫でた。


「プリンセス様、弾が当たっているのでは?」

アランが、心配そうに言った。


「大丈夫。かすっただけだよ。」

プリンセスは、ジューンの背中を撫でながら、苦笑した。

アランは、どこがかすっただけだ!と言いたげな表情だ。



「サクラ、飛行船は、今何処を飛んでいるかな?」

プリンセスが、小さな声で言う。

【プリンセスが乗っている船の上空を飛んでいます。】

プリンセスの服の襟から返事が返ってくる。


「コンテナを降ろして。そっちに戻るから。」

【分かりました。】





しばらくして、プリンセスとジューンは、船を後にした。



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