怪盗プリンセス
第二話〜太陽と月のリング〜

*1*

あれから、約十年の月日が流れた。


ジューンは成長し、プリンセスと同じ位の歳に見えるようになった。





そして、今―――

プリンセスは、アラスカのシャナの家に来ている。


「で、何があったの?」
シャナが、プリンセスにお茶を出しながら言った。


「この頃、ジューンといると調子が狂うのよね。なんか、心臓がドキドキしちゃって。」

「それは、プリンセスがジューンを好きだからでしょ。」

シャナが、軽く溜め息を吐きながら言った。


「有り得ないよ。何歳年下だと思っているの?」
プリンセスが、紅茶を飲みながら言う。

「関係無いでしょ。私達には、寿命が無いんだから。私も、プリンセスも、恐らくジューンも、これ以上歳を取らないのよ。」

シャナが、呆れたように言った。


「だけど………」

「あ、そうだ!」

シャナが、数枚の資料を持って来た。


「『太陽と月のリング』って知ってる?」


「知ってるわよ。何百年、怪盗をやってると思ってんの?」

シャナが、楽しそうに微笑んだ。


「あれを盗んで、ジューンに渡してみたら?」

プリンセスが、紅茶を噴き出した。


「それじゃあ、結婚してって言ってるようなものじゃない!」


「そうよ。好きなんでしょ?」


「家族みたいなものよ。」

プリンセスが、微かに首を振りながら言った。


「家族と一緒に居て、落ち着かないって事は無いわよ。恋愛対象として見ているから、ドキドキして落ち着かないんでしょ。」

シャナが、苦笑いを浮かべながら言った。


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