怪盗プリンセス
*2*
飛行船に戻った、プリンセスを出迎えたのは、サクラとジューンの怒鳴り声だった。
【仕事もせずに、何処をほっつき歩いていたんですか!】
「良い加減、仕事をして下さい!」
「………」
プリンセスは、再び船外に飛び出して行ってしまった。
高度約7000の高さから―――
「プリンセス!」
ジューンが、慌ててプリンセスの名を叫ぶ。
【プリンセスなら、大丈夫ですよ。今頃、鳥と空を飛んでいますよ。】
サクラの言葉に、ジューンも苦笑する。
「そう言えば、プリンセスは風を扱えましたね。」
ジューンは、プリンセスの能力を思い出し、転落死の心配が無い事に気が付くと、プリンセスの心配をするのを止めた。
【紅茶でも飲みますか?】
「そうですね。お願いします。」
ジューンは、ソファーに座ると、机の上の本を一冊取って読み始めた。
訳の分からないものを発明する為に、爆発音を発てるプリンセスがいないと本に集中出来る。
サクラが、紅茶をジューンの前に置く。
そして、服を繕い始めた。
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