怪盗プリンセス
「私の隠れ家に、プリンセス様が来て、ふて寝を始めたんだけど。」

アランの声は、氷の様に冷たい。


【ご迷惑をお掛けしました。直ぐに、引き取りに参ります。】

サクラが、溜め息を吐きながら言った。


「少し、プリンセスへの接し方を考えた方が良いわよ。彼女は、あれでも元王女なんだし………」

アランが、シャナを睨み付ける。


「それに、プリンセスは風のようなものよ。水は与えられた器に合わせて姿を変えるけど、風は自由に吹き続けるのよ。」

シャナの言葉に、サクラとジューンは顔を見合わせた。

――自分達は、プリンセスに対して、五月蝿く言うべきではなかったのだろうか?――



「それから、プリンセス様とお前が、永遠に近い年月を生きる事を忘れるな。時には、自分の気持ちに正直になることも必要だぞ。今の関係が壊れる事を恐れるな。」

アランが、淡々と放った言葉にジューンは苦笑した。


「分かりました。」



「シャナ、帰るぞ。」

アランが、ぶっきらぼうに言い放って、部屋から出て行く。
シャナも、後を追うように部屋から出て行った。



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