怪盗プリンセス
プリンセスが、博物館を駆け抜けている最中に、全てのセキュリティシステムが停止する。


プリンセスは、微かに微笑み、『太陽と月のリング』がある展示室に足を踏み入れた。



ピカッ!



ドアを開けた瞬間、全てが見えなくなる程の強い光が発された。


「っ!」

眩し過ぎて、目を開けられない。
無理に開ければ、目をやられる。



プリンセスは、服の中から黒い布を取り出し、目隠しをする。

聴覚を研ぎ澄ます。




――展示室内に敵は居ない。――



「プリンセス!」

ジューンが、展示室内から発せられている、強い光と展示室の入り口から伸びる、1つの影を見つける。


「ジューン、君は逃げて。」

「プリンセスは?」

「私は怪盗。仕事をやり遂げないと帰れないわ。」

プリンセスが、一歩一歩慎重に展示室の奥へと目隠しをしたまま歩きだす。


ジューンは、下唇を噛み締めて、展示室の前で俯き立ち尽くしていた。



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